3月24日、佐賀地裁は現在の制裁金では開門を促すには不十分だとして、佐賀および長崎の漁業者らが増額を求めた申し立てについて、制裁金を1人当り2万円に増額すると決定しました。
では開門すればいいのでは?と思うかもしれませんが、実は開門に反対する漁業者から別の裁判を起こされていて、開門の差し止め命令が出されています。
双方の言い分はこうです。
開門賛成派
- 堤防を閉鎖したので漁業被害が起きた。
- この堤防には高潮を防止する機能しかなく防災効果は少ない。
- 調節池の海水化で環境改善できる。
開門反対派
- 洪水対策が出来ず被害が増える。
- 調節池が海水化されると水源として使えなくなり、農業用水が不足する可能性がある。
- その他排水不良、塩害、ヘドロによる水質汚染が起きる。
- 淡水化し新たな生態系が構築された場所を海水化すればさらに生態系破壊が起きる。
- 現在漁業被害はなく、むしろ豊作である。
これらに基づき、それぞれが国に対して訴えを認めるよう裁判を起こしました。
それぞれの裁判の結果
福岡高裁…水門開けろ。従わなければ制裁金1日90万円(45万から増額)
長崎地裁…水門開けるな。従わなければ制裁金1日49万円
高裁と地裁で異なった判決が出たからといって、高裁の方を優先しなければいけないという取り決めは存在しません。
福岡高裁の判決について、民主党政権時に首相であった菅直人氏は水門を直ちに開けるよう要求するなどしていましたが、菅氏は2010年12月15日、周囲の反対を押し切り福岡高裁の判決について上告しないとの決断を下しました。
これにより福岡高裁の判決も確定し、国はどちらの判断を下しても制裁金を払わなければいけないという無理ゲーになってしましました。
さらに現時点においても、開門していないため1億1790万円が漁業者に支払われています。(2014年7月からの計)
漁業者は開門に従わない国に対して1日当たり1億円の支払いを要求していたので、今後も増額を目的とした訴えを起こすと予想されます。
いずれにせよ、制裁金も税金でまかなわれるものです。タカリのようにお金を要求するだけでなく、早期の解決のためお互い知恵を出し合う努力をして欲しいものです。
コメント